働くことは、社会をつくること
2016/03/31
復職おめでとうございます。
育休プチMBA勉強会代表の国保です。
こどもの保育園生活、そしてご自身の両立生活が始まるにあたり、不安を抱えている方も多いのではないかと思います。そんな人たちに向けて、少しでもエールになるといいなと思いながら、この文章を書いています。
まず、こちらのエントリーを読んでください。
——(一部抜粋)——
「保育は科学」です。ただ子どもの面倒をみているわけではありません。子どもの体の発達・心の発達・言葉の発達には順次制があります。そして、その順番通りにいかないとどこかでつまずきが見られます。保育士はそれらの発達についての専門的知識を持ち子どもの発達力を助けるのが仕事です。子どもは自分で発達する力を持っています。その力を見極め、どこを助ければいいのか、そのために必要な遊具は何か、空間はどういうものか、大人がすべきことは何かを考え準備し働きかけるのが保育士の仕事です。子どもは、遊びの中でも食事の中でも排泄の中でも着脱の中でも、もちろん睡眠の中でも発達をしています。だから、どの時間も子どもの発達を見極めるちからを保育士は必要とします。保育士とはそういう仕事です。
ただ、子どもをなんとなくみているのではないのです。そして、子どもが一つのことができるようになった時にその喜びを保護者とともに分かち合い自分のことのように喜べる仕事なのです。
だからこそ私は誇りをもって保育の仕事をしています。だからこそ、私は仕事を続けたいと思っています。この、誇り高い仕事を続けられるためならどんなことでもしなくてはと思っています。
——–
「保育は科学」なのです。保育士さんたちは、こどもの発達を見守るプロフェッショナルです。いつもはにこやかに遊んでくれている姿を見ることが多いのですが、保育士さんの真価は、こどものことで親が悩んだときにこそ発揮されます。
イヤイヤが始まり朝の準備に時間がかかるようになったとき、自己主張が強くなりおもちゃの取り合いでお友達をたたくようになったとき、私はいつも保育士さんに救われてきました。私から見たら問題だと感じる娘の行動をぽつりと相談した私に、「順調に成長している証ですね」「娘ちゃんの素敵な個性ですね」「そういうときは○○って言うといいんですよ」とベテランの先生たちは教えてくれました。その一言で、私は娘の行動を肯定的に捉えることができ、イライラせずに見守ることができ、安心して働くことができました。核家族で子育てをしている私は、この先生たちのアドバイスがなければ、もっともっと精神的に追い詰められ、そしてその矛先はほかでもない自分の娘に向かっていたことと思います。
だから私は、私の娘の保育園の先生方をとても信頼し、育児のパートナーとして尊敬もしています。そして娘はK先生が大好きで、朝にぐずぐずしていてもK先生の顔を見ると一目散に駆け寄っていきます。娘にとって大切な場が家庭以外にもあることを幸せに思っています。
しかし、保育士さんの待遇にはいつも心を痛めています。私にとってこれほど価値のある人たちが、働き続けることが難しい社会になっていることを、とても残念に思います。だからせめて、自分が会社に貢献して日本経済を発展させることで、働いて税金を納めて財源を作ることで、そして投票にいって自分の意思決定を政治に反映させることで、間接的に保育士さんの待遇改善に役立ちたいと思っています。つまり働き続けること、会社に貢献することが、私たち夫婦や娘にとって大切な保育士さんたちを支えることにつながっていると信じています。
これから復職する皆さんに伝えたいことは、
1)保育士さんたちはプロフェッショナルです。親が保育士さんを信頼していれば、こどもも自然に信頼するようになります。親と別れる瞬間は泣くけれど、親が信頼している人であればこどもはすぐに懐きます。だから、安心してお任せしてください。
2)そしてみなさんは、働き続けてください。会社に貢献して経済を発展させ、税金を納め、投票にいってください。皆さんがそうすることで、今すぐは無理だとしても、私たちのこどもの時代には保育士さんたちがもっと働きつづけやすい社会になっているはずです。
子どもを持ちながら働くと、いろんなことがあります。私も復職して1年間は、仕事を続けるのが辛くなった瞬間が数回ありました。でも、きっとみんな同じ道を通ってきていますし、それでも歩き続けてくれた先輩たちのおかげで今の社会は出来ています。だから私たちも、自分の世代でもう少し良いものにしてから、後輩たちに渡しませんか。辛くなったら、まずは睡眠をとり、そして視点をあげて考えてください。それでもだめなら、仲間に相談してください。
そうして皆さんが踏ん張ることが、こどもたち世代が受け取る社会を明るくすることにつながっています。