「制約人材の活用」をどのように会社で行うべきか? 国保さんにインタビューしました!(前編)

いよいよ年末年始ですね。

来春4月復帰予定の方は、復職まであと3ヶ月…カウントダウンが始まりました。復職準備は何からすればよいのか…迷っている方も多いのではないでしょうか。

 

年末年始あたりから復職前面談などで会社の上司と復職者で面談し始める方もいらっしゃると思います。復職者も不安なように、会社側にとっても、復帰者が増える4月に向けてどう対応していこうかと迷っている時期ではないでしょうか。

 

今回広報チームは、会社の経営者・人事、上司の方向けに「制約人材1をどう活用するのか?」について、静岡県立大学講師で、育休プチMBAの代表であり株式会社ワークシフト研究所の国保祥子さんにインタビューしました。

 

広報チームのインタビュアーの2人は、今回は初めての育休取得中。現在どのような心構えで復職に臨めばよいか不安がたくさんあります。インタビューにもその不安な気持ちを国保さんにぶつけてみました。

 

もちろん、復職者の方にとっても、復帰後上司の方とどのようにコミュニケーションを取っていくべきかいくつかヒントがあると思いますので、ぜひ読んでみてください!

 

※1 育児や介護、高齢、病気といった様々な事情により、働く場所や時間、従事する仕事内容などの労働条件について何らかの制約を抱える人材。

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 最近の制約人材の動向

 

――それでは、まずはじめに最近の制約人材の動向についてお聞きしたいと思います。企業においても制約人材の活用というのをよく耳にしますが、制約人材をどのように活用すべきと語られることが多いのですか?

 

国保 私が育休を取った2014年と2017年とでは結構違うと感じています。2014年はワーキングマザーをどうやって扱ってよいのかわからない、下手したらお荷物だねーという空気がもう少しありました。今はだいぶ薄れてきたと思っています。

 

――それは育休者が増えてきたからでしょうか?

 

国保 育休者が増えてきたのもあると思いますが、復職者に対して配慮を求める社会の動きがあるというのもあると思います。

 

――復職者に対して配慮を求める社会の動きとはなんでしょうか?

 

国保 復職者に配慮は必要ですが、会社側が復職者に過剰に遠慮しすぎている、腫れ物にさわるような、どうしたらいいかわからなくて遠慮がちになってしまう、そんな空気を感じます。会社側も復職者に本当はもっと活躍してほしいし、貢献も期待しています。そして、復帰者にストレッチする業務を任せたいと思っています。でも過度な期待が配慮不足と捉えられる可能性を恐れて、ストレッチした業務・目標を復職者に与えることに消極的になっている印象です。

 

――確かに会社でも子どもがいるからこの業務は無理だよね、と言われている女性社員が実際にいます。

 

国保 無理だよね、大変だよね、といって業務を任せないのは、復職者にとって負荷は低いけれど成長につながらないんですよね。

 

――国保さんには、企業からもそういった復職者などの制約人材に関する相談が多いんですか?

 

国保 多いですね。一番多いのは、復職者が増える見込みだけど、どう扱っていいかわからないというものです。会社側が復職者に遠慮がちで、どこまで仕事をさせていいかわからない。でも復職者が今後増えていく以上、遠慮していたら現場がきつくなってきます。

 

――実際復職者に会社で活躍してもらわないと、会社自体が回らないですもんね。

 

国保 そう。復職者は、時短制度等を利用すると、復帰前は10やるべき業務が8しかできなくなってしまいますよね。その2をどこでカバーするか?本当は会社側も、10の業務をやってほしいけど、やってほしいと言うと配慮不足だと捉えられてしまうのではないか…と遠慮がちになってしまうんです。そして現場が大変に…。今は2は誤差かもしれないけど、積み重なって200になることもありますよね。

 

――確かに。やっぱりこれからは制約人材を活躍していかないといけないですね。

 

国保 そうなんです。全ての人が働きやすい職場を作るためにも、復職者がいかに業務を10できる状態で会社に戻るか、いかに特別対応ではない形で受け入れられる職場をつくるかということが大事になってきます。

働く上で、上司と復職者が心がけることとは?

 

――復職前に気が引き締まってきました!復職前後で復職者は上司と話す機会があると思いますが、どのようなことが重要だと思いますか?

 

国保 上司と復職者で一番必要なのは、丁寧なコミュニケーションです。上司は、部下が何をやりたいのか?どこまでできるのか?、仕事を任せられたときの不安要素は何か?など、丁寧にコミュニケーションを取っていく必要があります。復職者も復職するにあたって、たくさん不安があります。

例えば、残業した場合保育園のお迎えはどうなるのかなと考えて、残業は無理です、などと上司に言いがちですよね。それだけを伝えてしまうと、上司は復職者が仕事に対して消極的で、モチベーションが低いと捉えてしまいます。モチベーションないんだな、育児をもっとしたいんだな、と。やはり上司も人間ですから、モチベーションが高い部下と低い部下がいたら、成長に必要な業務経験はモチベーションが高いほうの部下に任せようと思います。

旦那さんの家事と一緒ですよ。やる気はあるけど平日は忙しくてできない場合と、やる気がなくてやらないのでは、全然違いますよね。

 

――確かに!(笑)

 

モチベーションはあるが、不安で仕事に対して消極的なのか、モチベーションがなくて消極的なのか、上司にはわからない場合もあります。なので、復職者は、復職にあたって不安はあるけれど、モチベーションはあります!と3倍増しに伝えてほしいですね。上司も、復職者は思っている以上にモチベーションがあると思って欲しいです。

 

――復帰後の不安に対する対策を一緒に考えてもらうのもいいですね。

 

国保 管理職としてはやっぱり業務を怠けられるのが一番怖いもの。わたしたちも保育園のお迎えは絶対行ける人に頼みますよね。遂行出来ない可能性のある人に任せることは怖いんです。ただ、出来ない可能性もあるけど、そのときのための対策はしてありますと言われると全然違います。

上司としてもそういうコミュニケーションができる部下がいるとリスク回避にもなるし、マネージメントコストが下がります。ただ、上司には部下がたくさんいるので一人ひとり丁寧に見られませんから、上司に過度に期待せずなるべく部下からコミュニケーションを取るような姿勢でいてほしいですね。

(国保さんと娘さん♪)

近年の育休者・復職者は以前と変化している?

 

――育休プチMBAもそうですが、育休中にスキルアップを目指している女性も増えていますよね。なぜだと思いますか?

 

国保 みんな不安なんじゃないかな。育児休業給付金は延長しているし、赤ちゃん産んだ後はみんなやっぱり休みたいんだね、と世間では思われているような気がします。でも当事者にしてみたら、3年も休んだら怖くて復帰できないと思っています。育休者が不安であるというのは世間では知られていなくて、休めてラッキーだね、と思われているんじゃないでしょうか。

 

――確かに言われたことあります!その誤解もこの記事でなくなるといいなぁ。

 

国保 また育休中にできることが増えてきたように思います。2014年はママボノと育休プチMBAしかなかったんじゃないかな。

 

――そういった育休中に復職に対して意欲が高く、復職後も生産性を高めて働いている復職者と、いわゆるぶら下がりに甘んじている復職者がいるように思います。何がそうさせると推測しますか?

 

国保 ぶらさがっている人も図々しいというわけではなく、実は復職後の問題の難易度の高さに思考停止しているだけだな、と思っています。越えなきゃいけない壁が低いか、問題解決能力が高いと思考停止せずに仕事ができますが、問題解決能力が低く、ハードルが高いとどうしていいか分からなくて結果としてぶらさがってしまうんじゃないかな。

 

――ハードルを適切に設定していくというのは、先ほど話していただいたように上司とのコミュニケーションで行えますよね。どういうふうに自分で解決にもっていくかが重要な気がします。

 

国保 育休プチMBAで問題解決能力を上げられます。育休前は全部会社が悪いと思ってたけれど、参加して考え方が変わった、見えるものが変わったという感想は理想的です。特に育休2回目の復職者の場合、1回目の復職と比較して、プチに参加したことで復職後は1回目より課題やハードルが多いけど、気持ち的に全然楽、と言っている人がいました。

 

――それは視点が広がっているからでしょうか?

 

国保 問題解決能力が上がっているんでしょうね。実家に頼れる人はまだしも、頼れない人はシッターを使うなどしなくてはいけないので超えるべきハードルが高く、その分エネルギーが必要です。仕事でも、子どもいるいないでは、いたほうが越えなきゃいけないハードルは高いので、上司もハードルを越えがいがある目標を設定する必要があります。

 

――ハードルが低いと働く意味がないなと思いそうです

 

国保 ハードルの越えがいのない目標だと、これは子ども預けてまでする仕事だろうかと考えてしまいますよね(笑)。ママーとぐずる子どもを保育園に連れていきながら向かう先が誰でもできる仕事なのか、お客さんからぜひあなたにお願いしたいと言われながらする仕事なのかでは、気持ちも全然違います。

 

――確かに!仕事のパフォーマンスも変わりますね。

 

国保 復職者もそういう仕事ができる体制を整えないといけないし、上司も責任ある仕事を任せないといけないんです。

 

――なるほど。お話を聞いて働くことが、より具体的にイメージできてきました。

 

国保 復職するとき、ある人に「日常を100%フルパワーで送ってはいけない」と言われたことがあります。日々フルパワーだと、突発事故が起きた時バッファがないから、すぐ破綻してしまう。日常を80%ぐらいで回していると、子どもが病気のときなど余力が20%が残っているので対応できるんです。

 

――全部やったほうがいいと思ってしまい、その20%をどこで手を抜くかが今は掴めないです。

 

国保 家事の好き嫌いでいいんじゃないかな。苦手なものをイライラしながらするべきではないように思います。わたしは料理は好きなのですが、掃除が嫌いなんです(笑)。1時間掃除するのと料理するのではエネルギーが全然違います。苦手な掃除をやることでストレスを溜めて、子どもにイライラするのは本当に意味ないですよね。私は料理であれば心の余裕があるので、子どもがバッシャーンとかやってもそんなに気にならないんです。

 

――好き嫌いですか!全然思いつきませんでした!(笑)

 

国保 仕事はつい日々100%になりやすくて反省しているんですが(笑)、育児のほうで20%ほど余裕があるので、子どもと絵本読んだり、料理を一緒にしたりができますよ。

(国保さんと娘さん♪)

――確かに復職後も気持ちに余裕をもって子どもとの時間を大切にしたいですね。お話を聞いて、復職後の仕事と育児・家事どちらもどのようにすべきかイメージがわいてきました!早速旦那さんに相談してみます。(笑)

次は、組織全体の働き方推進についてお話をお聞きしたいと思います。

(後編に続く)

 

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いかがでしたでしょうか?復職経験があるなしに関わらず、はっと気づかせてくれる視点もあったと思います。前編では、制約人材の最近の動向や、上司がどのように制約人材へ対応すべきか、制約人材もどのような準備をすべきかをお聞きしてきました。

 

後編では、政府が進めている働き方推進や女性のキャリアアップについて国保さんにお聞きします!ぜひお楽しみに♪