【復職者インタビュー③ 第2期 Mさん&Sさん「キャリアと家庭の両立について」】
2017/09/10
こんにちは。第4期(春)運営メンバーのあちゃこです。
復職後の働き方をイメージして復職後に備えてもらいたい、今後のキャリアビジョンを描くヒントを提供したい、という思いから、運営チームでは育休プチ勉強会OGへのインタビューを実施し、配信しています。
第3回は、2015年度の育休プチ運営に関わったメンバー(2期メンバー)のMさん、Sさんのお二人に、テーマを「キャリアと家庭の両立について」と題し、育休プチMBA第4期(春)では初のオンラインインタビュー(※)をさせていただきました!
お子さんの寝かしつけを終えた夜の時間帯、Mさんはビール缶(ヤッホーブルーイング社の水曜日のネコ)、Sさんはワイングラス(白ワイン)を片手に、ざっくばらんにしかし深いお話をたくさんしてくださり、大変密度の濃い時間となりました。
※ちなみに2期メンバーでは、時々オンライン飲み会を行っているそうです。
(オンラインインタビュー イメージ図)
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〈お二人のキャリア・働き方〉
まずは、お二人のプロフィールをご紹介します。
Mさんは、メーカー勤務で、品質向上を目的としたITシステムの企画・設計とBPRに携わっていらっしゃいます。お子さんは、2歳、5歳の男の子です。
Sさんは、7月まで金融機関に勤めていらっしゃいましたが、9月から伝統工芸に関わるベンチャー企業に転職することになっていらっしゃいます。(インタビュー実施の8月末時点)お子さんは、3歳、5歳の男の子です。
インタビュアー:Sさんは9月から新しい会社に転職されるということですが、何がきっかけだったのでしょうか?
Sさん:転職のきっかけは、4つあります。
1つ目は、育休を経て働く環境が変わったことです。
2つ目は、仕事内容について限られた人生の時間の中で自分にとって対価があるかどうかを考えた時に、前職がフィットしないなと思ったこと。
3つ目は、長期的にも短期的にも前職の将来像を考えた時、自分の居場所としてより適した場所があると判断したこと。
4つ目は、タイミングです。
1回目の育休から復帰して、今までの、残業でなんとか乗り越えるというやり方ができなくなりました。そこではじめて、仕事のやり方を変える必要があることを認識したのですが、それまでの時間をかけて仕事をするスタイルに慣れてしまっていたので、時間制約がある中で仕事をどう回すのかというビジネス上の課題が顕在化して戸惑いました。
特に私は飲みニケーション(飲み会を通じたコミュニケーション)が好きでしたし、それで職場間コミュニケーションを補ってきてもいたので、これが簡単にできなくなってしまったことにストレスを感じました。
また一方で、子供との時間を削ってまでしている仕事の価値とは何かを考えるようになりました。親が仕事を楽しんでいる姿を見せられているか、子供に胸が張れる仕事ができているのか、日々悶々としていました。
2回目の育休中、育休プチMBA勉強会でケーススタディを通じて上司目線を体得したことで、1回目の復職時よりも2回目の復職時の方が、うまく仕事を回せるようになりました。
また、セミナーなどを通じて自己啓発を進めていく中で、自分が本当にやりたいことが伝統工芸に関わる仕事であることがわかってきました。
そのうちに、入りたい会社が見つかり、ボランティアとして携わっていく中で転職のタイミングが訪れました。
Mさん:Sさんは、2期メンバーの中で、活動を通じてもっとも視座が上がった人だと思います。上から目線みたいですみませんが…。
Sさん:子供を育てるようになってから、自分が楽しんでいるのが一番良い教育だと思えるようになりました。
Mさん:Sさんの話を聞いていると、転職したくなりますね(笑)。復職してからぶつかる壁は皆同じような気がします。
インタビュアー:Mさんは、2回目の育休復帰後は、時短制度利用をせずに残業も必要に応じて毎月0〜30時間程度こなしていらっしゃるということですが、1回目の育休復帰後は1日5.5時間勤務の時短制度を利用されていたんですね。
1回目と2回目の時短利用の違いについて、理由を教えてください。
Mさん:まず、上の子は手がかかるほうで、1回目の育休復帰後は時短制度を利用していました。
自分自身、仕事が好きで、家事・育児に苦手意識があったのですが、復職後、仕事と家事・育児の両立で板挟みになっている自分が1人だけ不幸になっていく気がしていました。
具体的には、仕事柄、海外とのやりとりが多く、海外とのコミュニケーションをとる時間帯の朝晩に職場を離れなければならない仕事での状況と、その一方で子供といる時間が長いのにその間子供に背を向けて長時間家事をやっているという家庭での状況の板挟みになっていました。
なので、2人目の妊娠がわかってからは、2回目の育休復帰後は絶対にフルタイム勤務にすると決めていました。
インタビュアー:お二人のお子さんが居ながら、復帰直後からフルタイム勤務は大変だったのではないでしょうか?
Mさん:実は、2回目の育休復帰後もしばらくは時短制度を利用していました。
必要に応じて残業をすることで、見た目上はフルタイム勤務をしていたのです。
病児対応などのリスクを勘案して当初は時短制度を利用していましたが、想定していたほど子供の病気が多くなかったため、評価面談前に時短制度の利用をやめて、フルタイム勤務をしている状況です。
インタビュアー:Sさんの勤務形態はいかがでしょうか?
Sさん:前職では、時差勤務を利用し8:00-16:30のフルタイム勤務、必要に応じて残業をすることがありました。9月以降も同じスタイルを予定しています。
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〈家事・育児にまつわるお話〉
インタビュアー:お子さんを抱えながら仕事や家事・育児をする上で、ある程度割り切りが必要な場面があると思います。そんな中で、絶対に譲れない点、ここは諦めるなどご自身の中での優先順位を教えてください。
Sさん:先ずは家族の命に係わることが最優先です。次に子供と一緒に過ごす時間の質が大切だと思っています。
一方、仕事時間が同僚より短いことは諦めて、時間の長さより質で勝負しようと考えています。
Mさん:絶対に譲れない点は2つあって、1つ目は、年1回は旅をすることです。2つ目は、子供の気づきや発育を促すための関わり方です。
諦める点は、家事などの自分基準や自分のやり方です。
インタビュアー:パートナー・ご両親のサポート状況について教えてください。
Sさん:夫は保育園の送り、お風呂掃除、洗濯などの家事を担当しています。病児の際などの緊急時は、夫は基本的に休めないため、時々半休を取って対応してもらいます。
両親には、病児の時は頼らないと決めていて、子供が元気かつ夫と私の両方が残業するときに、子供を預かってもらうことがあります。頻度としては2〜3ヶ月に1回程度です。
Mさん:夫は、保育園の送りを90%程度担当し、やり残した家事をやっておいてくれることもあります。緊急時も状況により予定調整のうえ、対応してくれることがあります。
親のサポートに関しては、義母が毎週水曜日にバイオリンレッスンを兼ねて、上の子の保育園のお迎えや夕食の支度をしてくれます。
インタビュアー:パートナーとの協力体制を築かれていらっしゃいますね。家事・育児の外部委託サービスなども活用されているのでしょうか?
Mさん:残業などでお迎えに行けない時や病児対応などで、自宅で預かってくれるベビーシッターサービスを活用しています。
1回目の育休復帰後は使っていなかったのですが、育休プチMBA勉強会での運営の活動や、自分がやりたいことをやる方法を考えた時に、使ってみようと思うようになったのがきっかけです。また、自治体の病児保育も活用して、ベビーシッターと使い分けています。
インタビュアー:Sさんも育児の外部委託サービスの利用はありますか?
Sさん:ベビーシッターを2回目の育休復帰時から本格的に活用しています。
実は次男が保育園に通い始めた頃、ご飯も水も1日中拒否するハンガーストライキが続きまして、それでベビーシッターの利用を開始しました。3〜4人のベビーシッターにローテーションを組んで来てもらい、お金はかかったのですが、会社にも覚悟が伝わったと思います。
また、病児の場合、病気にかかった2日目以降にベビーシッターやファミリーサポートを活用することで、本業の仕事でも社外活動でも自身の活動の幅が広がるようになりました。
インタビュアー:家事代行サービスの定期利用もありますか?
Sさん:家事代行サービスも、ベビーシッターと同様、2回目の育休復帰時から活用を開始しました。ここ2年ほど使っていて、今は月2回各2時間の掃除をお願いしていますが、家事代行のおかげで夫婦喧嘩の元が減りました。
やはり、家が綺麗になると自分がご機嫌になれるので、夫や子供にもイライラしないでいられるのが一番良いですね。
Mさん:私も家事代行を利用していて、今は週1回4時間程度、掃除・洗濯をお願いしています。今後は、作り置きサービスの定期的な利用も隔週程度で検討しています。3時間で10品以上作ってくれるもので、主菜・汁物よりは副菜重視のプランでお願いしたいと考えています。
インタビュアー:パートナー・ご両親や家事・育児の外部委託サービスなど、複数の人が家事・育児に関わる仕組み、大変参考になります。こうした他の方に協力してもらう際に心がけていることを教えてください。
Sさん:基本的に、夫と外部サービスはビジネスライクに話すことを心がけていて、依頼内容・懸念事項を整理して伝え、どこまで可能かを確認するようにしています。
特に夫に対しては「あなたも大変な状態ということは理解している」という話し方を忘れないようにしています。
また、基本的に両親には頼らないようにしています。
Mさん:やり方の違いや仕上がりは、こちらが譲れない安全衛生上の点を伝えた上で、協力してくれる人の質にお任せしています。
ただ、以前、家事代行サービスの担当者に変更があり、これに伴いやり方も大幅に変わって戸惑ったことがあるので、家事自体を自動化することが効果的だと考え、家事の自動化を進めています。
インタビュアー:家事の自動化ですか?
Mさん:例えばキッチンの自動化について、具体的な事例を挙げると、3つあります。
1つ目は、タイマーや焼くモードの設定が可能なグリル魚焼き器です。最初にスタートのスイッチを押すだけで、途中焼き加減を調整することなく魚をちょうどよく焼き上げてくれて重宝しています。
2つ目は、タイマー設定が可能なコンロです。これで圧力鍋調理をしています。予め火を止める時間を何分後などと設定した上で圧力鍋に火をかけるのですが、保育園のお迎えに行っている間に料理が出来上がるのでとても便利です。無駄に火にかける時間がなくなるので、ガス代の抑制にも繋がります。
3つ目は、大きな鍋も全部入るような食洗機です。最近は食器を手洗いした記憶がないくらい、よく活用しています。
何もかもタイマーで動くようになっているのがポイントです。
インタビュアー:キッチン以外にも何か自動化の仕組みがあれば教えてください。
Mさん:宅配物の受け取り方法を自動化しています。
コンテナ式の宅配ボックス(外に置くような物置)を導入して、不在のため受け取れないということがない仕組みを作っています。
また、生協で届く冷蔵・冷凍品は宅配ボックスで受け取りができないのですが、こちらは家事代行のスタッフが家にいるときに届くよう設定しています。
インタビュアー:育休中から準備ができそうですね。仕組みづくり、とても参考になります。
Sさん:私も家事の自動化について、育休中にやったことがあります。
整理収納アドバイザーのような専門家に依頼して、家具の配置を全面的に変えたことです。仕事後家に帰ってからの自分の動線を極力少なくすること、夫や子供が自分自身で色々なことをやりやすくする動線を作ること、などがポイントです。
その結果、例えば子供がその日保育園に来ていく洋服を自分で選んで着ることができるようになりました。すぐには覚えられなくても、誘導を根気強くやれば覚えてくれます。
夫の脱ぎ散らかしについても、完全になくなってはいないのですが、場所が固定化されるなどの改善がありました(笑)。
家具も調達することになるので、ある程度の投資にはなりましたが、効果を実感しています。
インタビュアー:効果はいつ頃まで持続するのでしょうか?
Sさん:子供の成長に合わせて、使い方を変えていけるようになっていて、少なくとも小学生くらいまでは持続すると思います。例えば、就学前の子供も手が届くような位置に配置する配慮もあれば、小学校に入ったらランドセルをここに収納しましょう、などの工夫もあります。
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〈自己啓発の秘訣をお伺いしました〉
インタビュアー:仕事も家庭のこともお忙しい中、自己啓発の時間をどのように作り出しているか教えてください。
Mさん:自己啓発、辞めました(笑)。
今は何よりも、子供たちと過ごす時間を大切にしたいと考えています。
やりたいことは色々ありますが、何でもやる、だと体調を崩してしまうので、パワーをかけるべきところに集中させるようにしています。
これから9月以降12月までは、福沢諭吉記念文明塾という勉強会に週2回通う予定です。ちょうど昨年、会社の中で1%の人しか得られない最高評価をもらったことがありました。
組織から求められる一方、では自分のやりたいことは何だろうと考えたときに、「人生が変わった」という当塾の卒業生の話を聞いて、自分も挑戦してみたいと思うようになったのがきっかけです。
実は以前、慶應義塾大学大学院のMBAの受験に合格していたのですが、2年間通うことを考えて通学を諦めた経緯があり、今回の3ヶ月であれば何とかなるのではないかという思いもあります。
インタビュアー:すごいですね!仕事に育児・家事に忙しい中で、きっちりと自己啓発されていらっしゃると思います。
Sさんは自己啓発にどのように取り組まれていますか?
Sさん:私は日々、自分の好きなように使える時間を30分作っています。
朝は夫が保育園の送りをするので、その分家を早く出て時間を確保しています。カフェやコンビニのイートインスペースに行くことが多いです。
携帯電話のタイマーで15分毎に時間を区切っていて、30分のうちの半分はリフレクション、日経新聞購読、その日の予定を考えることに使っており、もう半分はやりたいことに時間を使います。
二日酔いの時はぼーっとするのもよし(笑)、本を読むのもよし。必要に迫られた時は、仕事をやるプロセスを考える、自己啓発本を読む、英語を学習するなどに活用しています。
Mさん:リフレクション大事だよね。
Sさん:そうなんです!
リフレクションもポイントがあって、前向きなことを3つ振り返ることにしています。
仕事で失敗したことでも、「失敗からこんな気づきが得られた」と前向きに捉え、次回への学びとすることで、必要以上に自分を貶めないで済むのが精神衛生上も良いと思っています。
また最近は、朝にキックボクシングをやっていて、7:00〜7:45の時間帯なんですが、気分がスッキリして良いです!ストレス解消だけでなく、その後のストレスにも寛容になる効果があります。
インタビュアー:朝からかなりアクティブですね!
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〈育休者へのメッセージ〉
インタビュアー:最後に、現在育休中の人へ、メッセージをお願いします!先ずはSさんお願いします。
Sさん:1日5分でも10分でもいいので、自分時間を持つと良いと思います。
かなり頑張っている方が多いと思うので、自分時間というか、自分を甘やかす時間を意識的に絶対に作った方が良いと思います。
Mさん:日本人女性は育児中・育休中に自分時間を持つことに罪悪感を持ちがちで、やるべきことを優先してしまいますよね。
Sさん:まずは3週間やってみてください。
自分時間ができた日は手帳に○をつけるなどしていくと、ゲーム感覚で取り組めて良いのではないでしょうか。
インタビュアー:ありがとうございます。続きましてMさんお願いします。
Mさん:ぜひ時間があるうちに、旅行にいっぱい行ってください。
私の場合、2回目の育休中に、実家(福岡)に20回、海外に6回(香港、台湾、マレーシア、シンガポール、ハワイ、グアム)行きました。
旅をするということは、やりたいことや準備を短期間で整理しないといけないので視野が広がります。
また、子連れの旅では、子供のことをじっくり考えるので、子供と向き合うよい時間になります。
インタビュアー:そんなにたくさん旅をされたんですね!お子さんにはどんな影響がありましたか?
Mさん:子供への影響としては、外国人に対する偏見が少なくなったり、言語に対する偏見が少なく物怖じしなくなったりしたことでしょうか。
旅は復職の準備にもなるし、復職後は、行くことがなかなか難しくなるので、育休中に積極的に行ってくださいね。
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〈インタビューを終えて〉
パワフルでエネルギッシュなお二人のお話、あっという間にインタビュー終了の時間となりました。
それぞれご自身のキャリアを築かれていくなかで、育児のサポート体制や家事の効率化といった各種仕組みづくりに工夫を凝らしていて、これから復職する身としてたくさんのヒントをいただくことができました。
また、お二人のお話をお伺いして、ご自身と向き合う時間やお子さんと過ごされる時間を大切にしていることこそが、仕事にもポジティブに取り組める秘訣なのでは、と気づかされました。
Mさん、Sさん、貴重なお時間をありがとうございました!
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次回の育休プチMBA勉強会は、9/21(木)@巣鴨、テーマは「リスク管理とマネジメント思考」です。
皆さんも、子連れOKの勉強会で復職に向けた準備をしませんか?
詳細はこちらです → http://peatix.com/event/289833
※9月10日9時現在、ありがたいことに完売しています! 前日や当日に病児事由のキャンセルが発生する場合がありますので、参加希望の方は随時チェックしてみてくださいね。
なお、10月勉強会(10/12)チケットは、9/22販売開始予定です。
また、第4期(秋)の「育休プチMBA勉強会」の運営メンバーを募集しています!
任期は2017年10月から2018年3月まで。
気になる応募方法の詳細はこちらです →https://ikukyumba.jp/member/秋メンバー募集方法/
運営メンバーに興味がある方は、こちらもぜひチェックしてみてくださいね。