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子育てしながら働くことの「罪悪感」を「無意識バイアス」で説明してみる話

2022/06/09

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”子どもを持ちながら働く”が当たり前になる社会を目指して――
育休中・復職している方も含めた多様なメンバーが集まる『育プチライター』によるブログシリーズ。
ときに悩み、ときに自分を奮い立たせ、でも前向きに楽しく”子どもを持ちながら働く”を実践中!そんな方たちのリアルをお届けします。

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「子どもと一緒にいるために、出世はしない」私の両親の言葉
「忘己利他」ある地方医大寮に掲示された書

2人の子どもを育てながら、婦人科悪性腫瘍についてトレーニングをしている産婦人科医です。前回のブログで、子育てしながら医師として働いていると、全てが中途半端になってしまい、家族に同僚にそして患者さんに「罪悪感」を抱いてしまう、と書きました。今回は「罪悪感」の源に少し近づくことができたお話です。

毎日、「罪悪感、罪悪感、罪悪感 …」と唱えながら生活をしていたら、大きなヒントに出会いました。

「私たちは基本的に、内在化された社会通念とずれた行動を取ろうとは思い付かない。ずれた行動をすると、罪悪感や困難を覚えてしまう。」
篠田真貴子 「無意識バイアス」が日本の女性活躍を妨げている Harvard Business Review 2020

仲良しの子育て医師と深夜のZOOMトーク中、紹介してもらったHarvard Business Reviewの一文です。そうそうそう!と、首がもげそうなほど頷きました。ここでいう内在化された社会通念とは、「無意識バイアス」そのものだと思います。つまり、自分の無意識バイアスとずれたことをすると、罪悪感が生まれるのです。

では、私はどんな「無意識バイアス」を持っているのでしょう。そう考えた時に浮かんだのが、冒頭の二つの言葉でした。

一つ目は「「子どもと一緒にいるために、出世はしない」です。私の両親は公立学校の教員でした。父は体育の教員で、私が幼い頃は、ある競技の全国大会の審判などをしており、部活動も熱心に行っていて、休日はあまり家にいませんでした。しかしある日突然それらの職を辞して、休日をほとんど家族と過ごすようになりました。「子どもと一緒にいるために」彼がした選択でした。私は休日のたびに山に海に連れて行ってもらい、幸福な子ども時代を過ごしました。私の親と自分を比較して、休日も日直で仕事に行き、学会や勉強会に出向く自分は親としての役割を十分果たしていない、という罪悪感を持っていました。

二つ目は「忘己利他」、己を忘れて他を利する、仏教用語のようです。これは私が6年間生活した大学の寮に初代学長の書として飾られていました。残念ながら初代学長先生にお会いしたことがないので、どのような意図で書かれたのかはわかりません。しかし文字通り理解すれば、医師は自分のことは忘れて、患者さんの利益のために尽くしなさい、ということでしょう。「医師は、自分のプライベートは後回しにして、患者さんに尽くすべき」というのは、特に年配世代の多くの医師、そして多くの患者さんたちが持っている感覚だろうと思います。

この二つは本当に絶対に正しい「あるべき」姿なのでしょうか。

「子どもと一緒にいるために、出世はしない」
先日、両親にこの疑問をぶつけてみたところ、「私たちは、子どもたちのために、出世しなかったわけでも、家族で遊びに出かけたわけでもない。ただ自分たちが楽しむためにやっていたんだよ」と言われました。彼らは「親は子どもに尽くすべき」と思ってそうしたのではなく、彼ら自身の人生を楽しむために選択をしていた、というのです。「母親は子どもに尽くすべきという呪いを次世代に引き継がない」という言葉を先日国保先生からいただきましたが、私は両親の意図を誤解し、勝手に自分に呪いをかけていました。ご想像いただけるように、私の仕事中子どもたちは、この子ども大好きじいばあに愛されて、幸せな時間を過ごしています。もちろん、保育園や学童保育で子育てのプロたちによってたくさんの経験をさせていただいています。

「忘己利他」
一方、医師の長時間労働が、医療の質を下げ、医師自身の健康を害している、ことから働き方改革が提案され、今後は働きたくても「長時間労働はだめ、早く帰れ!」という施策が実行されようとしています。

私の中に内在化された通念、無意識バイアスは、事実の誤認あるいは既に時代遅れであると気づいたのでした。

前述のHarvard Business Reviewのなかで、執筆者の篠田真貴子さんは無意識バイアスの存在を知り、気づくことで、その影響をコントロールすることができる、と書いています。

今回、このブログを使って、無意識バイアスに気づく過程を踏んでみました。
罪悪感が消えたわけではありませんが、もっと前向きに子育てしながら働く自分の在り方を認めていこうと思えました。

もちろん無意識バイアスは私たちが社会で生きていくために良い働きをする場面もたくさんあります。必要なバイアスですが、時々取り出して見つめてみることで、自分の価値観を客観的に評価できそうです。

次回、3回目は最も身近にいる「無意識バイアス」をコントロールしている人にインタビューしてみようと思います。

今回の育プチライター
かも
地方で婦人科医をしている。万年メガネが特徴。医師ではない夫と一緒に、歴史大好き、「ダーウィンが来た」大好きな小学生の女の子と、工作とお絵描きを愛する保育園生の男の子を育てている。2021年に子育てをしながら婦人科内視鏡手術の修練を行う企業セミナーの企画運営に関わったことから子育てしながら働くことについてあらためて考え直したい、と、ブログ参加を決意。

 

◆育休プチMBA®️は、復職後に起こり得る様々なケーススタディを用います。視座を高くもつこととはどういうことか、頭でだけではなく体感で理解できます。子どもを持ちながら働くことに不安な方、復職を控えている方、ぜひふるってご参加ください♪

◆7/5(火)10:00-13:00【オンライン】
「組織における自分の役割を考える」
(認定ファシリテーター:小林良江さん登壇)
http://ptix.at/XFkdoY

◆7/28(木)11:00-14:00【会場開催】
「長時間労働の改善策を考える」
(認定ファシリテーター:大西愛歌さん登壇)
http://ptix.at/gclZoJ

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